▽ いなり寿司。いただいた蕗味噌を軽く混ぜ込んで。
豆腐屋さんの店先に立つ。
あの、油揚げを・・・・・。
そういうだけで
あ、おいなりさんですか?
と声が返って来る。
お願いした枚数。
すぐにその場でさばいて
おいなりさん用にしてくれる。
「豆腐屋指数」という言葉をしばらく前から使っている。
町の実力を見る規準として山田が勝手に決めた。
旧市街地の路面店、
単品の製造販売、
価格競争は大資本の前には立ち向かうすべ無し。
そんな「地域の豆腐屋さん」が成り立つには
まずは
豆腐屋さんみずからの不断のご努力もある上に
歩いて買い物に来ざるを得ない
または、昔からの食習慣を変えることが出来ない
高齢者を中心とした地域住民が控えていることを忘れてはならない。
街の中に豆腐屋さんが生き残るということは
それだけ町の内々で消費活動をする住民コミュニティーが存在するということであり
その指標としての、「豆腐屋指数」である。
ちなみに、桐生本町1・2丁目は路面店として2軒(1軒は最近閉店)。
すなわち、ひとつのご町内につきひとつの豆腐屋さん。
これは「豆腐屋指数」的に言えば、最優良カテゴリーに属する。
高齢者問題という言葉があり
中心市街地の衰退化という言葉があり
それぞれに対策本部なるものもあるらしい。
何をどう対策するかは、存じ上げないが
自然生態系のように現在を息づく町の営みを
「負」のものとして捉えていてはもったいない。
昼前
サンダル履きでいくお豆腐屋さん。
山田の注文に
オカミさんと息子さんの二人で
アブラアゲの腹を開いてくれる姿が
わが家のおいなりさんを
ただならぬものにひと化けさせてくれる。