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寄稿 ミラノでの展覧会、最終日。

イタリア・ミラノでの展覧会
公式グッズとして展示販売。

この展覧会もいよいよ終了。

遠藤京子氏からの寄稿をご紹介申し上げる。



テレビではいつもミラノというとドゥオーモの建物を映し出す。
コマーシャルでもその場面が何回も出る。
そのたびにレアーレ美術館でワタシの作品は沢山の人に見られているのだと思うと
あらためて世界はひとつだと感じてしまう。
何回かイタリアの友達から「見たよ」とメールが来る。
そのあとでいつイタリアに来るの?
の連発でその時カップを買うという。
ホントかな?
それがイタリア人。
知り合いを大事にする、すべてが友達で成り立っているといっても過言ではない。
それだから私も友達を利用していろいろ仕事をしてきた。
イタリア人はいい加減だと言われているけれど、この国の人たちにも情がある。
情や四季は 日本人の専売特許だと思っている人が多いが
昨今イタリア人ほど情が濃い民族が他にあるだろうか?
歴史的にはかなりの種類の民族が混ざりあっているから、
よけいに他者との付き合い方を知っていて
思いやりが熟成しているのだろう。
ひとつ証拠をあげるとす れば、「なんにも用がないんだよ」との言い回しがある。
その言葉をいって長々と電話でお喋りをはじめるのだ。
つまり結構人を気遣ってなにげに慰めの電話 だったり、
安否を確かめる電話だったりする。
そうして自分なりの関係網を張り巡らしてゆく。
それはもちろん仕事に結びつく、いや結びつけるのだ。
友達をフルに利用もするが、自分も利用されていることが
彼らの自慢でもあるのだ。
そんなわけで昨日イタリアからメールあり。
君の天使のカップ私が売ってあげるからね、と。

         by  遠 藤 京 子

寄稿 ミラノレポート 遠藤京子

ミラノのドウーモはいつも人、人、人で溢れている。
十二月で寒い季節なのにどこから人が湧いて出てくるのだろう。立ち止まってゴシック建築の豪華な塔を見上げようとすると人がぶつかってくるから、おちおち空も見られない。
注意しながらジグザグ歩きで左に広場を抜けるとパラッツオ・レアーレの門の前である。
暗いトンネルみたいな門にはいると、警備員が何人も出てきてここは入れませんという。関係者ですと言っても駄目そうなので、携帯でロッセラを呼び出すとレシーバーを持った「桃山時代日本展」の案内人がやってきた。もと宮殿だった館のとてつもなく広い階段には真っ赤な絨毯が敷かれている。アカデミー賞の階段もこれかしらと思いながら登って行くと、今回の展覧会の仕掛け人ヴェネツィア カ’フォスカリ大学の日本の歴史学教授ロッセラ・メネガッツォと日本美術専門のミラノ芸術大学教授ジャン・カルロ・カルツェが待っていてくれた。


 

まだオープニングパーテーには早くやっと飾りつけが終わった様子で、この展覧会を立ち上げるまでの愚痴や、日本人と仕事をする大変さなどなど話ししていると、一時間はやく呼んであったという報道陣がカメラをかついで二、三〇人ほどの人たちがはいりこんできた。主催者と話していた着物姿の私にいっせいにカメラが向けられ展示物の説明を求められ適当に答えていたら、教授二人はニヤニヤしている。なんだか二人にはめられたようだ。イタリアテレビでは有名だといわれているコメンテーターに紹介された。とても美男子とは言えないような感じの人だったがじっと眼を離さず話すのには驚いた。

▲ 彼女の胸には私がデザインしたブローチ

カメラから開放されてやっと最後の部屋のブックショップにたどりついた。商品は前に納品してあったが高価なものだからケースを作らなければならないといっていたので今日までいったいどんな風になっているのか検討もつかないでいた。


そしてこんな風になって売っていただいています。   by  遠 藤 京 子

肉食系 × 肉食系 


イタリアからの続報が来た。

われらが遠藤京子氏は
ミラノをすでに離れ
ローマにいるのであった。

イタリア男は女性を見れば
誰彼となく口説く、というイメージがある。
つまり「肉食系」が基本ということになる。
これはその背景に
誰彼となく言い寄る男を
にべもなく断り続け
これは、と思ったら
捕獲し
プレイボーイ的所業の息の根を止め
家庭人に仕立て上げる
イタリア女たちの存在がある。
肉食系にもいろいろあるのだ。

さて
ここで一枚。
イタリア男と遠藤京子氏である。

image010.jpg

なんでも、資産家で
美術品の売買なども手がけている
かなりのやり手、とのこと。
あいかわらず、詳しい情報はなかったが
肉食系であることに相違はなさそうである。
和服の日本女性とイタリア男
とくれば
いささか危機感のある一枚になりそうではあるが
ここには
そのような不安感はみじんも感じられない。
原因はいたってカンタンで
遠藤京子氏もまた
肉食系だからである。
男女のことはよくわからないが
こと美術のことに関しては
彼女は貪欲であり
対象を的確に示す言葉と文脈を有している。
欲しいものと
いらないものとを
はっきり分けて
述べる力がある。

肉食系同士が
グラスを酌み交わし
ともに美を語る。
そんな席には
どんな肉が
あうのだろうか
思っていたらもう一枚。

image011.jpg

何の肉ですか
とメールで質問したが
返信はいまのところ
無い。

フェリーニの「ROMA」のワンシーン
ローマの下町
大勢が路上で夕飯の長い長い卓を取り巻く
何処から何処までがひとつのグループかわからない
それぞれが欲しいものを
しっかり欲しがる
小食だからと大声で言いつつどしどし注文する女性のもとに
ついに運ばれてきた料理
その大皿の
なにやらどろりとした塊の中心に
埋め込まれた 目玉 ・・・・・・・。

おそらくポレンタであろう
この写真の皿の上 左上部の副菜のなかに
その目玉が埋め込まれているのかと思い
息をのんだ。

ここはローマだ。
あり得ない話ではない。




始まりました! ミラノでの展覧会!

 
▲ 画像クリックで展覧会のHPへ。(※イタリア語です)

遠藤京子さんがイタリアに行っている。
もう何度目の渡欧か
数えきれない。
今回は、ミラノでの大規模な日本美術の展覧会の
ギャラリーショップでの商品開発を依頼されてのイタリア滞在である。

彼女が提案した品物は「天使のカップ」。

たいていのことでは驚かない彼女だが
その予想を遥かに上回る規模と内容らしい。
なんせ送られてきた言葉が
「すごい展覧会です。ミラノ市長が」
ここで切れたまま、続報もない。

いつも携帯電話でメールを送信する京子さんなのだが
「もうね、そんなことしてられないのよ!」
というほどの、魅力的な展覧会なのであろう。

その興奮のなか
送られてきた画像

image007.jpg
▲ GIAPPONE というのが この展覧会の案内

image008.jpg
▲ 会場のレアーレ宮 

上の写真。 GIAPPONE の左隣には 江戸時代の春画のポスター。
今年はミラノをあげて日本の特集が組まれているらしい。

それにしても、寒そう・・・・・。

寒い中でも、日本の美術に対して多くのイタリア人が
押し寄せている。
ちょっとアツくなる。


しょんぼり と きっぱり

 遠藤京子さんは現在イタリアにいる。
ミラノでの展覧会の搬入作業に追われているらしい。
聞いてはいたが
送られて来る写真は
食べ物ばかり

  image006.jpg 

これはどうも彼女の朝ご飯のようである。
よくよく見ると、イタリア産(当たり前ではあるが)フルーツにハム
何とも美味そうな上に、自分一人のために奇麗に盛りつけてある。
これは彼女が日本にいてもそうなのであるが・・・・・。

それにしても、画像が小さい。そして粗い。
宇宙から送られてくる画像だって、今時ここまでしょんぼりしていない。

しかし、であるからこそ。彼女がイタリアにいることを痛感する山田なのであった。
イタリアへの旅は、距離の旅だけではない。
何もかも最先端でなければならないという緊張と優越にあふれた日本にいると
電化製品とは張り切っているのが当然と思いがちだが
ヨーロッパ、とくにイタリアでは
電化製品が、どれもこれもしょんぼりしている。
彼らの名誉のために申し上げるが、イタリア人が科学において劣っているわけではない。
あえていうならば
購入できる「文明」よりも、購入しがたい「文化」を重んじているフシがあるのだ。
衣食住、この文化に奉仕する範囲で、邪魔にならない範囲で、
文明の利器をささやかに取り入れる。
山田の知るイタリア人たちはほとんどそのように見える。
すなわち、イタリアへの旅は、価値観の分布をぐらつかせる旅ともいえる。
まあ、誰しもが、自らの価値観をぐらつかせるほど
イタリアの生活文化に深く接するわけではないのだけれど・・・・・。

遠藤京子さんは、ぐらつかない。むしろ日本にいるときにまして、きっぱりしている。
価値観の分布が、イタリア人に類似しているのかもしれない。

  image005.jpg

したがって、イタリアからの画像が劣悪で
なおかつ、その内容が 食べ物のことばかりとなると
「ああ、きっぱりと本調子だな、京子さん・・・・」
と安心する山田なのであった。




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