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俳句同人誌「円錐」 第53号

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△  表紙画   川口 聖



第53号 2012 Summer(68頁)

作 品 1(20句)

群書類従 ・・・・・・・ 栗林 浩
太き閂  ・・・・・・・ 佐藤獅子夫
五寸釘   ・・・・・・・・ 和久井幹雄
春雪  ・・・・・・・・・三輪たけし


連 載

エリカはめざむ(11)
  渡邊白泉の沼津時代   今泉 康弘



戦後派俳人作品鑑賞(4) 

家に時計なければ雪はとめどなく   森 澄雄   三輪たけし/江川一枝/横山康夫
縄とびの寒暮いたみし馬車通る    佐藤 鬼房  矢上新八/橋本七尾子/味元昭次
鉛筆の遺書ならば忘れ易からむ    林田紀音夫  入船誠二/栗林浩/山田耕司
愛されずして沖遠く泳ぐなり     藤田 湘子  原田浩佑/佐藤獅子夫/今泉康弘
暗闇の下山くちびるをぶ厚くし    金子 兜太  和久井幹雄/山田耕司/澤好摩


小特集 俳句における恋

【林檎指数】その1 恋の句と『新選21』   山田 耕司
俳句における恋                横山 康夫



書 評

小檜山繁子 句集『坐臥流転』      橋本 七尾子
前田 霧人 句集『えれきてる』     澤 好摩


作 品 2 (15句)

春立つらし  ・・・・・江川 一枝
ちんば踊り   ・・・・柴 勇起男
ダダの薔薇   ・・・・小倉 紫
Π           ・・・原田 浩佑
風呂敷        ・・・荒井 みづえ
Far from Nirvana  ・・・今泉 康弘
オペラ・サロメ   ・・・・和久井 幹雄
絶景        ・・・・横山 康夫
辺土通信45   ・・・・・味元 昭次
三人目   ・・・・・・山田 耕司
春は名のみの   ・・・・・橋本 七尾子
静物          ・・・・澤 好摩
老耄      ・・・・矢上 新八
居残り    ・・・・・入船 誠二



ダッグアウト

荒井みづえ「喫茶店」/橋本七尾子「昔の地震」/佐藤獅子夫「私のふる里」



「円錐」52号 作品評

続・雀の戯言(2)   澤  好摩

楽しみつつ読む(2)  矢上 新八


「円錐」52号 10句選

山田耕司/和久井幹雄/原田浩佑/住村太



円錐集

後藤秀治/垂水猫女/はっとりるり/佐伯ひろみ/三丸祥子/近藤修造/
堀田明美/木俣博翁/住村 太



俳句同人誌「円錐」 第53号 2012年4月30日
頒価 800 円 (予約 年4冊/送料共 3500 円)





 

俳句同人誌「円錐」 52号

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△  表紙画   川口 聖









第52号 2012 Spring(84頁)






作 品 1(20句)

冬の金魚 ・・・・・・・ 澤 好摩
夕ともなりぬ ・・・・・ 入船 誠二
アバカノヴィッチの砂 ・・今泉 康弘
光つたら押すボタン ・・・山田 耕司


連 載

エリカはめざむ(10)
  渡邊白泉の沼津時代   今泉 康弘




特 集 戦後派俳人の出発と終焉 (3)


昭和50年代以降の戦後派俳人    横山 康夫

戦後派俳人作品鑑賞(2) 

暗闇の目玉濡らさず泳ぐなり     鈴木六林男  入船誠二/和久井幹雄/山田耕司
遠足の列大丸の中通る        田川飛旅子  三輪たけし/矢上新八/澤 好摩
冬の日や臥して見あぐる琴の丈    野沢 節子  伊藤華将/橋本七尾子/味元昭次
汝が胸の谷間の汗や巴里祭      楠本 憲吉  柴勇起男/佐藤獅子夫/横山康夫
紺絣春月重く出でしかな       飯田 龍太  江川一枝/栗林浩/今泉康弘


糸大八 句集『白桃』小特集

「糸版 ほおずきの歌」      仁平 勝(特別寄稿)
「俳句を信じる」         山田 耕司


時 評

関悦史の句集と震災詠       今泉 康弘






書 評

宇多喜代子 句集『記憶』        横山 康夫
池田澄子  句集『拝復』        味元 昭次
栗林 浩  『続々俳人探訪』      和久井 幹雄




作 品 2 (15句)

月動く    ・・・・・江川 一枝
ほしづくよ   ・・・・柴 勇起男
秋の記憶    ・・・・三輪 たけし
親離れ子離れ     ・・・原田 浩佑
余生余白        ・・・・伊藤 華将
犬がゐて猫もゐて   ・・・荒井 みづえ
鶴啼く     ・・・・・・栗林 浩
オペラ・サロメ   ・・・・和久井 幹雄
古傷        ・・・・矢上 新八
辺土通信44   ・・・・・味元 昭次
私はいつも ・・・・・・橋本 七尾子
つれづれの      ・・・・・小倉 紫
狐火          ・・・・佐藤 獅子夫
蘆刈      ・・・・横山 康夫


第五回会員作品年間推薦作家/編集部

三丸 祥子  「氷輪」


円錐20周年記念

「いつせいに柱の燃ゆる都かな」から   横山康夫

「円錐」20周年の記           編集部



ダッグアウト

原田浩佑/小倉 紫/和久井幹雄



「円錐」52号 作品評

楽しみつつ読む    矢上 新八

続・雀の戯言(1)   澤  好摩



「円錐」51号 10句選

横山康夫/伊藤華将/入船誠二/垂水猫女



円錐集

三丸祥子/垂水猫女/堀田明美/佐伯ひろみ/近藤修造/木俣博翁/住村 太


同人名簿







俳句同人誌「円錐」 第52号 2012年1月31日
頒価 800 円 (予約 年4冊/送料共 3500 円)


「彼方からの手紙 第3号」ゲスト 御中虫  2/11まで

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コンビニのコピー機がはきだした一枚の紙を雨もよいの枝に。
しばし晒してから読みはじめたのは「彼方からの手紙」、虫づくし。



山田露結+ 宮本佳世乃の俳句通信。

セブンイレブンのコピー機にて呪文を入力し60円を投入すると
だれでも入手できる。
呪文が知りたい人はコチラ → 露結の庭



今回は第3号。
テーマは「虫」。ゲストは御中虫。
ゲストが御中虫だから、テーマが「虫」なのか。

今回は第3号。各人新作8句と短文。


御中虫

蝦蟇仙人蛋白質ヲクダサヒナ
蠢愚蚩蚩蠱疾ハ御中虫


文章が文字化けしてしまったときの疎外感に興奮してしまうのは
山田がたんに文字フェチなのかもしれないけれど、
その疎外感の岸辺に軸足を置きつつ
ひょいと文脈を手渡してくる御中虫はやはりただものではない。
自虐と自己愛とで漢和辞典を嬲っていて。


山田露結

変声期終へたる蛇の出づるかな
風呂敷に包んで帰る蜃気楼


どこで切るか。
露結は読者を試しているのだが
それは読者への不信からではなく俳句形式への信頼からくる行為のようで。
連体形+名詞が修飾+被修飾ではなく 
連体形//名詞、ここにちぎれそうでうっかりつながりそうなヨヂレのようなものがくる。
こんなところに露結のエロを感じる。



宮本佳世乃


綿虫の持ち主が来て長くなる
新しき風花となる赤ん坊


「綿虫の」 ここでいったん呼吸をするんだろうね。
呼吸に特定の意味を付与するのではなく
むしろ意味が付与されていない呼吸をこそ呼び込もうとしているようで。
「赤ん坊」の直前にも、そんな息づかいをしてみました。




あたたかい紙。

60円を入れると
体温をもつ紙が出てくる。


取り出せるのは、2月11日まで、とのこと。






『俳コレ』

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『俳コレ』到着。









俳コレ 専用ページは コチラ




 

入集作家(作品撰小論担当者)……100句標題/小論タイトル

野口る理 (関 悦史)……眠くなる/かたちと眠けのあかるみ
福田若之 (佐藤文香)……302号室/西日の部屋
小野あらた(山口優夢)……隙間/誠実さと情熱
松本てふこ(筑紫磐井)……不健全図書〈完全版〉/AKBてふこ
矢口 晃 (相子智恵)……白壁に蛾が当然のやうにゐる/境界の詩情
南 十二国  (神野紗希)…… 星は渦巻/循環する心
林 雅樹   (榮 猿丸撰 小論・上田信治)……大人は判つてくれない/顰蹙に義あるとせば

太田うさぎ(菊田一平)……蓬莱一丁目/おおらかなおおどかな
山田露結 (山田耕司)……夢助/ほろ酔いブルース

雪我狂流 (鴇田智哉)……良夜/不思議な普通

齋藤朝比古(小野裕三)……こんなに汗が/ユートピアの骨法
岡野泰輔 (鳥居真里子)……ここにコップがあると思え/都会色のカタルシス
山下つばさ(島田牙城)……森を飲む/騙し繪としての俳句
岡村知昭 (柿本多映撰 小論・湊 圭史)……精舎/溺れる者は俳句をつかむ
小林千史 (山西雅子)……エチュード/私から見た千史さん
渋川京子 (大木あまり撰 小論・小川楓子)……夢の続き/朱欒の夜、葉桜の昼
阪西敦子 (村上鞆彦)……息吐く/爽快な型破り
津久井健之(櫂 未知子)……ぽけつと/さり気なさという着地点
望月 周 (対馬康子)……雨のあと/真の場所
谷口智行 (高山れおな)……紀のわたつみのやまつみの/ドクトル谷口の熊野ラプソディがずっと前から好きだった。 
津川絵理子(片山由美子)……初心の香/しなやかに生きる

依光陽子 (高柳克弘)……飄然/受肉された時間

合評座談会=池田澄子・岸本尚毅・関悦史・高柳克弘・上田信治




『子規に学ぶ俳句365日』




【新刊書のお知らせ】


『子規に学ぶ俳句365日 』


子規の俳句を
一日一句 365日、
季節を楽しみながら
俳句の骨法がわかる本


輝くような
三十五年の生涯。

俳句は、
正岡子規から始まった!


解説執筆

相子智恵
上田信治
江渡華子
神野紗希
関 悦史
高柳克弘
野口る理
村田 篠
山田耕司


以上、本書 帯より


「週刊俳句」=編/草思社/2011年12月16日発行/1500円+税




お歳暮に
お年始に
いかがでしょうか。


俳句とご縁がうすい人でも
楽しく読める一冊となっています。




週刊俳句 編
草思社
¥ 1,575
コメント:解説執筆/相子智恵・上田信治・江渡華子・神野紗希・関 悦史・高柳克弘・野口る理・村田 篠・山田耕司


俳句同人誌「円錐」 第51号

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△  表紙画   川口 聖









第51号 2011 winter(68頁)






作 品 1(20句)

輾 転   ・・・・・・・橋本 七尾子
金魚の揺れ  ・・・・・ 荒井 みづえ
ルドンの目    ・・・・・ 大和 まな
盛夏の昼          ・・・・・矢上 新八


連 載

エリカはめざむ(9)
  渡邊白泉の沼津時代   今泉 康弘




特 集 戦後派俳人の出発と終焉 (2)


昭和50年代以降の戦後派俳人    横山 康夫

戦後派俳人作品鑑賞(2) 

戦後の空へ青蔦死木の丈に満つ    原子 公平  伊藤華将/大和まな/澤好摩
ロシア映画みてきて冬のにんじん太し 古沢 太穂  栗林浩/橋本七尾子/横山康夫
身をそらす虹の/絶巓/処刑台    高柳 重信  三輪たけし/山田耕司/今泉康弘
ゆるやかに着てひとと逢ふ螢の夜   桂  信子  江川一枝/矢上新八/味元昭次
父酔ひて葬儀の花と共に倒る     島津 亮   入船誠二/和久井幹雄/山田耕司


時 評

類句に関して      味元 昭次






書 評

たむらちせい句集『菫歌』        山田 耕司
鈴木豊一『俳句編集ノート』       澤  好摩
高橋修宏『真昼の花火 現代俳句論集』  今泉 康弘




作 品 2 (15句)

猫の道    ・・・・・江川 一枝
夏うぐひす   ・・・・栗林 浩
ひとりごち   ・・・・小倉 紫
花いちもんめ     ・・・伊藤 華将
夏から秋へ       ・・・・三輪たけし
信長忌         ・・・・柴 勇起男
食うに帰す   ・・・・・・入船 誠二
辺土通信43     ・・・・・味元 昭次
熱帯魚       ・・・・横山 康夫
暮色急  ・・・・・・・澤 好摩
虚空の檸檬 ・・・・・・今泉 康弘
母刀自          ・・・・・和久井 幹雄
愚図愚図            ・・・・山田 耕司
風の盆     ・・・・佐藤 獅子夫








ダッグアウト

三輪たけし/入船誠二/山田耕司



「円錐」51号 作品評

言葉が新たな感覚を  横山 康夫

なかなか       橋本七尾子



「円錐」50号 10句選

澤 好摩/江川一枝/佐藤獅子夫/三丸祥子



円錐集

三丸祥子/垂水猫女/住村 太/近藤修造/佐伯ひろみ/原田浩佑/
木俣博翁/堀田明美







俳句同人誌「円錐」 第51号 2011年10月31日
頒価 800 円 (予約 年4冊/送料共 3500 円)





『俳コレ』出版のお知らせ。

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12月に姿をあらわします。
しばしお待ち下さい。

『新撰21』

『超新撰21』

そして

『俳コレ』です。



  ◇



「俳コレ」

俳句のこれからを担う作家22人の代表作各100句

週刊俳句=編 邑書林=刊

2011年12月初旬刊行 304p 予価1890円(税込)

入集作家(カッコ内は作品撰小論担当)

野口る理 (関 悦史撰)
福田若之 (佐藤文香撰)
小野あらた(山口優夢撰)
松本てふこ(筑紫磐井撰)
矢口 晃 (相子智恵撰)
南十二国 (神野紗希撰)

林 雅樹 (榮 猿丸撰 小論・上田信治)
太田うさぎ(菊田一平撰)
山田露結 (山田耕司撰)
齋藤朝比古(小野裕三撰)
雪我狂流 (鴇田智哉撰)

岡野泰輔 (鳥居真里子撰)
山下つばさ(島田牙城撰)
岡村知昭 (柿本多映撰 小論・湊圭史)
小林千史 (山西雅子撰)
渋川京子 (大木あまり撰 小論・小川楓子)

阪西敦子 (村上鞆彦撰)
津久井健之(櫂未知子撰)
望月 周 (対馬康子撰)
谷口智行 (高山れおな撰)
津川絵理子(片山由美子撰)
依光陽子 (柳克弘撰)

鑑賞座談会 池田澄子・岸本尚毅・関悦史・柳克弘・上田信治






作家の句を、作家本人以外の手によって100句選ぶ試み。

山田耕司は

山田露結の作品にかかわらせていただきました。

山田つながりですが、親戚ではありません。

親戚ではありませんが、なんだかアカの他人とも思えません。





12月初旬。

ずいぶん先のことだと思っていたら、

あとひと月ほど、ということで、

ちょっとうろたえました。


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俳句同人誌「円錐」 50号

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△  表紙画   川口 聖









第50号 2011 Autmun(84頁)






作 品 1(20句)

不断    ・・・・・・・江川 一枝
よるの百合  ・・・・・ 柴 勇起男
辺土通信42   ・・・・・ 味元 昭次
風景傅             ・・・・・横山 康夫




特 集 1 戦後派俳人の出発と終焉 (1)

100の鏡・五年の鏡           山田 耕司
昭和二十年代の戦後派俳人    澤 好摩
昭和三十年代の戦後派俳人    今泉 康弘
昭和四十年代の戦後派俳人    味元 昭次

戦後派俳人作品鑑賞 

春宵の衣桁に何もなかりけり  清崎 敏郎  江川一枝/斎藤康子/澤好摩
いつせいに柱の燃ゆる都かな  三橋 敏雄  佐藤獅子夫/矢上新八/山田耕司
本丸に立てば二の丸花の中   上村 占魚  伊藤華将/入船誠二/今泉康弘
かなしきかな性病院の煙突   鈴木 六林男 栗林浩/和久井幹雄/味元昭次
火を投げし如くに雲や朴の花  野見山 朱鳥 小倉紫/橋本七尾子/横山康夫






特 集 2 「円錐」50号に寄せて

俳句史の当事者たち      恩田 侑布子
元祖ひきこもり俳人の弁    高山 れおな
「われわれ」でない「円錐」  山田 耕司

「円錐」アーカイブ(50号のあゆみ)  編集部






書 評

和田 悟朗著『時空のささやき』  橋本 七尾子
関根 誠子句集『浮力』      矢上 新八
島田 牙城句集『誤植』      栗林 浩




作 品 2 (15句)

手紙の余白  ・・・・・伊藤 華将
写 楽     ・・・・栗林 浩
春から夏へ   ・・・・三輪たけし
雨のかたつむり    ・・・大和 まな
佇まい             ・・・・斎藤 康子
幽 霊         ・・・・山田耕司
改札口         ・・・・・・荒井 みづえ
常しへなり    ・・・・・小倉 紫
蒼ざめた一角獣   ・・・・今泉 康弘
千 年    ・・・・・・・橋本 七尾子
晴れのち  ・・・・・・入船 誠二
茄子は泣き          ・・・澤 好摩
大根碑               ・・・・和久井 幹雄
土竜のトンネル ・・・・佐藤 獅子夫
手にあわん       ・・・・矢上 新八







ダッグアウト

今泉 康弘/矢上 新八/澤 好摩



「円錐」50号 作品評

やっと少し    橋本 七尾子

事柄の典型を描く 横山 康夫



「円錐」49号 10句選

柴 勇起夫/三輪たけし/荒井みづえ/大和まな

「円錐」同人名簿





円錐集

はっとりるり/垂水猫女/原田浩佑/三丸祥子/住村 太/佐伯ひろみ/近藤修造
木俣博翁/山ノ平 飛井杷/堀田明美







俳句同人誌「円錐」 第50号 2011年7月31日
頒価 800 円 (予約 年4冊/送料共 3500 円)


たむらちせい 句集 『菫歌』




2001-2011

10年間の作品。738句収録。
「菫歌」は第六句集。






たむらちせい

1928年、土佐に生まれる。
そして今も、土佐に。




「古代の人は草や木が発する言葉を聞きとめたという。
その中でも、菫の言葉がもっともわかりやすかったそうだ。
ときには菫が歌っている声も聞いたであろう。
集名の『菫歌』はそんなことから付けた。
俳句は老境の華と思ったりしながらの日々の詠出である。」


帯にはこうある。







土佐の地を
およそ人は理想に駆け抜け
時代に突き動かされして、
しかし
土佐は土佐でありつづけ。

その中で、人は傀儡(くぐつ)であるかのようで。
とはいえ傀儡なれども、傀儡に魂。

菫の言葉を聞き届けるのは
人間もまた歴史の上では傀儡であると見定めて
すこし娑婆から離れつつある魂の為せる仕儀かと。

「老境」とは、
肉体の老いではなく
娑婆から少し離れている、その魂のありようの謂いであるか、とも。



句が突破力を放つ。
年齢やら世代やらではなく、
個人の事情なども超えて句がこちらへ届く。
そうしたことへの示唆に富む句集。

( 蝶 俳句会 2011年6月10日 発行 )

  





百歳の我千歳の我も水仙

雲雀詠めば夭折すると信じをり

白桃の一夜に傷を深めたる

死者は脚揃へて眠る月の家

花柊夢ではみんな生きてゐて

涅槃図に眴(めくばせ)をして猫飛べり

花の夜の湯ざめしてゐる家族かな

井戸一つ残して生家跡花野

土佐を打ち終へたる海を遠眺め

草紅葉倒るるときは声あげて

人妻となりては遠し蜩よ

すこし考へて藁塚を離れけり

寒禽の骸を誰も見て通る

鏡の前を通り過ぎたる蝮捕り

どの木にも蜩どの家にも媼

鮟鱇を寂寞と食ひなほも食ふ

紅梅や命さびしき母と寝て

蛇踏んでより足裏の華やげる

鏡より翔ちたるは揚羽か姉か

千鳥の声容れて鏡を閉ぢにけり

青芒左右に迫り敵地めく

菊人形敦盛の首はずしけり

枯葉美しければ植物館員も

老はただ睡し唐辛子を吊つて

いもうとの縄飛び歌が昏れてゐた

自己嫌悪ときどき自己愛義仲忌

おもかげは一輪草にあり径あり

隣国より引き戻したる烏瓜

兄と姉一つの墓に蛍の夜

月光に音ありとせば一位の木

どこでどう死んでも烟(けむり)牡丹焚く

にんげんを続けてゐます初明り

我レ認知症ニ非ズ月は東に日は西に

からうじて生きるほつけを食ひ散らし

月光の那智の瀧なり私(わたくし)す

きつねのかみそり人妻である私の妻

くちづけるところは睫毛梅の花

幻聴である妻が葱刻んでゐる

この家には誰もゐません春の暮

散るさくら野望あらずば絶望なし

夢に現れしはこの人か桜守

バナナ一本食べて笑つてまだ此の世

さてと立ち上がり水母と別れたる

行く秋のタオルを投げろペン投げろ

花吹雪この世に忘れものないか

友情はとむらひにあり春の雪

潜水艦浮上寒月が頭上





書評 小久保佳世子句集『アングル』



 小久保佳世子 句集『アングル』 書評

 「こちら岸の臍」           山田 耕司




 

 ダイバー消え水面に臍のごときもの

 

  たとえば私たちが「顔」と言っているものは、顔のイメージであることが一般的だ。それは眼球であったり鼻梁であったり唇と口腔であったりするわけだが、その足し算としての総称というよりは、ひっくるめた印象をもって、顔と呼んでいる。意味の統合、とでもいうべきか。また、そこに表情を読み、コチラから好悪の情などを寄せるに至り、顔とは、より「情報」の方へ近づいてゆく。「顔を潰す」だの「立てる」だの、汎用的な意味を彼岸に置くとして、私たちは、此岸のリアルから彼岸のイメージまで、言葉の指し示す対象に揺れのような幅があることを言外に理解している。

 

 そら豆の花の黒き目数しれず   中村草田男

 

  この句の「目」は、「そんなふうに見えました」という見立て。形状や色の相似というよりは、フンイキが近い、という触り方。さるに、この場合の「目」は身体の統合的なイメージ、つまりかわいらしさや幼さなどまで類推できることを踏まえた上で、たどりつく「目」。

  擬人法という喩の技法の問題にとどまらず、われわれが身体をどのように認識し、あるいは表現しているのか。小久保佳世子『アングル』は、その課題に多くの示唆をもたらす句集である。

  意味の統合としての身体イメージを彼岸に置くとすれば、統合されないモノとしてのパーツ/リアルな物体としての身体は此岸にある。草田男の「目」は彼岸を経てそら豆に投げかけられているが、小久保佳世子の「臍」は、身体に再統合されることを予定していない気配だ。水の渦を見立てたにせよ、そこに人格や情念などを導きいれようとはしていない。この臍は、此岸の臍だ。

 

 涅槃図へ地下のA6出口より

 謝る木万歳する木大黄砂

 足開くプリマ涼しき角度まで

 目鼻口流さぬように髪洗ふ

 編み耽りセーターの首伸びてゆく

 

  本書の帯にある自選十句の内から抜粋。イメージ化された身体が「荒海や佐渡に横たふ天の川」というふうに自在に伸びふくらませられることを、どこかで回避する作者。「地下のA6出口」というリアル、編み耽るセーターというリアル、そのリアルさが、ともすれば拡大し浮遊しがちな身体イメージを、此岸にひきとめている。プリマの足の角度を「涼しき」と認識するのは、プリマの人格や存在感を経由せず、あくまでこちら岸の身体として見えている身体を対象化する意識のもたらしたものにほかならない。

  『アングル』の句たちに漂う残酷さとおかしさは、こうした「リアル」への手さばきが、鮮やかでよどみないところから生まれる。

  おおむね作家がこうした姿勢をもつ契機はいくつもあるのだろうが、その根本にあるのは、死との対峙のしかたにある。死とはまさに彼岸的なイメージであると同時に、厳然として此岸のリアル。繰り返し問い直す内なる死、他者の死、それを「意味」で嚥下してしまうロマンチシズムに、作者は立てないでいるのかもしれない。

 

 緑さす四阿に母置いておく

 扇風機の羽根の向かうに透けて母

 

  実人生におけるご母堂と作者との関わりはさておき、表現においては、「母」は作者の客体化された自画像でもあり、人格として統合されないままそこにある身体の象徴なのかもしれず。

  「繃帯を巻かれ巨大な兵となる」における白泉の世界観と同心円上の此岸。人の世にあって、人の世に揺さぶられ続けるからこそ、彼岸的な「ものわかり」に立たず、こちら岸で自己を解体していく、そんな営みと俳句形式との抜き差しならない関係。読み応え、なのめならず。

(二〇一〇年一月発行 金雀枝舎 一五〇〇円)


「円錐」第49号に掲載された書評。本文に誤植少なからず。あるべき状態をここに再掲し、

小久保佳世子さん、ならびに読者各位にお詫び申し上げます。


 

 




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